品質管理(盛土)

標準的な盛土の締固め管理

1.概要

盛土の締固め管理は、盛土材や構築用途によって異なっていますが、通常、盛土の締固め密度や含水比を点的に測定する品質規定方式とモデル施工により決定したまき出し厚さや転圧回数、振動ローラーの振動加速度応答などを面的に管理する工法規定方式があります(ちなみに情報通信技術(ICT)を用いた盛土の情報化施工(TS・GNSSを用いた盛土の締固め管理)は、工法規定方式に分類されます)。

RI計器による盛土の締固め管理は、品質規定方式による管理となります。以下に管理方法の決定手順の一例として、東日本・中日本・西日本高速道路株式会社「土工施工管理要領(平成25年7月)」に掲載されているフロー図を以下に示します。

標準的な盛土の締固め管理

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国土交通省の品質管理基準及び規格値は、以下の国土交通省「品質管理基準及び規格値」(平成25年4月1日改定)の表(一部再構成しています)に管理の適用区分を定めています。
当社では、RI機器等を用いてこれらの管理全般に対応しています。

品質管理基準及び規格値表

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2.業務の手順

業務のフローチャート

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3.モデル施工

モデル施工では、実際の盛土施工に先だって、使用材料、現地の作業条件に応じて、

  • 施工機械の選定
  • 施工方法の検討
  • 管理方法の検討
  • 管理体制の検討
  • オペレーター、作業員への作業体制の周知徹底
  • 現場技術者へ管理要点を把握させる

ことを目的に実施します。

次にモデル施工の実施例を示します。

(1)モデル施工のヤード形状

モデル施工のヤード形状は、施工する盛土構造物の種類や規模、発注機関の仕様等により異なります。
一例として、東日本・中日本・西日本高速道路株式会社「土工施工管理要領(平成25年7月)」より抜粋した路体盛土のモデル施工の標準例を以下に示します。

路体盛土のモデル施工の標準例

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(2)測定項目

通常、使用予定の盛土材、締固め重機を用いて計画したまき出し厚さ、転圧回数で、

  • 締固め密度
  • 含水比
  • 表面沈下量

を測定します。

これらに加え、対象盛土構造物の種類等により以下の試験項目を適宜追加する場合があります。

  • 平板載荷試験
  • 現場コーン貫入試験
  • 簡易支持力試験(キャスポル)
  • ベンゲルマンビームによるたわみ量試験 他

参考までに某モデル施工にて測定した各物性値の転圧効果曲線例を以下に示します。

転圧効果曲線の例

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4.盛土管理のためのRI機器の使用手順

盛土の締固め管理に最もよく用いられる表面透過型RI密度水分計(ANDES)の使用手順(動画)は、こちらを参照してください。

5.RI機器による締固め管理

盛土の実施工においては、モデル施工にて定めた施工仕様に基づき施工を行い、締固め管理基準を満足することを確認し、次工程に進みます。
締固め管理基準は、発注機関により異なります。以下に東日本・中日本・西日本高速道路株式会社「土工施工管理要領(平成25年7月)」に掲載されている各盛土施工部位の締固め管理基準値を以下に示します。また国土交通省の締固め管理基準値、管理頻度等については、「1.概要」に示すとおりです。

各盛土施工部位の締固め管理基準値

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6.工法規定方式による盛土の締固め管理

工法規定方式による盛土の品質管理は、事前に実施したモデル施工によって得られた所定の品質を満足するまき出し厚さや転圧回数を締固め機械の走行軌跡や稼働時間等により間接的に評価します。これにより施工エリア全域を面的に管理でき、品質の均一化や工期短縮、品質管理試験の省力化などのコスト縮減に大きく寄与するものであると考えられています。

東日本・中日本・西日本高速道路株式会社「土工施工管理要領(平成25年7月)」には、工法規定方式の盛土品質管理方法として、岩塊材料におけるタスクメータを用いた締固め機械の稼働時間により管理する方法やGNSS(Global Navigation Satellite System:全地球航法衛星システム)を利用した盛土の品質管理方法が記載されています。

以下に東日本・中日本・西日本高速道路株式会社「土工施工管理要領(平成25年7月)」に掲載されている「岩塊材料の分類及び施工上の着眼点」を示します。工法規定方式を適用する岩塊材料は、原則下表に示す堅岩を対象とし、中堅岩やぜい弱岩は品質規定方式により品質管理を行うものとしています。

岩塊材料の分類及び施工上の着眼点

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また、国土交通省においても情報通信技術(ICT)を活用した情報化施工の普及促進を図ることから、「TS・GNSSを用いた盛土の締固め管理要領」をとりまとめています。これは、TS(自動追尾トータルステーション)やGNSSを用いて、作業中の締固め機械の位置座標を施工と同時に計測し、この計測データを締固め機械に設置したパソコンへ通信・処理(締固め回数のモニタ表示)することによって、盛土全面の品質を締固め回数で面的管理する手法です。

ただし、同管理要領によれば、対象土質(盛土材)の条件として施工含水比の条件が記載されています(下図参照、国土交通省「TS・GNSSを用いた盛土の締固め管理要領」より抜粋)。

施工含水比

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したがって何らかの方法により対象土質(盛土材)の含水比を迅速に測定することが必要となってきます。当社では、これに対応した簡易型RI水分計(WARP)を開発・製品化しました。

厚層化施工における盛土の締固め管理

1.概要

通常、盛土の仕上り層厚は、20~30cmですが、建設機械の大型化や最近の社会経済情勢の変化に伴う建設コストの縮減等により、盛土の仕上り層厚を60~100cm程度にて行う厚層化施工が実施されています(下図参照)。
その際問題となるのが盛土の締固め管理をどのように行うかということです。東日本・中日本・西日本高速道路株式会社では、「土工施工管理要領(平成25年7月)」に「大型締固め機械による厚層盛土の品質管理」が定められていますので、以降にその概要を紹介します。なお、東日本・中日本・西日本高速道路株式会社では、転圧力320kN級振動ローラーを用いて、1層の仕上がり厚さを60cm以下にて施工する盛土を厚層盛土としています。

大型締固め機械による厚層盛土の品質管理の概要

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2.転圧層内での密度勾配

振動ローラーによる転圧層内においては、層内の上下で締固め密度に差が生じます。一般に締固め密度は上層が高く、下方になるほど締固め密度は低くなり、転圧層内において密度勾配が生じます(下図、公益社団法人「地盤調査の方法と解説」から抜粋した「材料区分と転圧層内の密度分布の傾向」を示します)。

表面透過型RI密度水分計(ANDES)の測定深さは、地表面より20~30cmであり、この区間の平均密度を測定しています。したがって、その以深の締固め密度は、直接測定することができません。すなわち、厚層盛土においては、表面透過型RI密度水分計にて測定した締固め密度が管理基準値を満足していても、測定深さ以深の下層部については管理基準値を満足していない場合があるということになります。

このようなことから、厚層盛土では、上記に示した密度勾配を把握し、これを考慮した施工方法、品質管理基準値や品質管理方法を設定する必要があります。

品質管理基準値や品質管理方法を設定する

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3.施工管理基準の設定

転圧層内上層部(地表面より30cmの区間)は、通常表面透過型RI密度水分計(ANDES)で締固め密度、水分量の計測が可能です。厚層化施工において表面透過型RI密度水分計(ANDES)にて盛土の締固め管理を行うには、転圧層内下層部(地表面より30cm以深の区間)の平均乾燥密度(または空気間隙率)が所定の管理基準値を満足する必要があります。

厚層盛土の締固め管理は、転圧層内下層部の平均乾燥密度(または空気間隙率)が所定の管理基準値を満足する時の転圧層内上層部の平均乾燥密度(または空気間隙率)をモデル施工にて確認し、この値を用いて管理します。このため、厚層化施工は従来施工と比較し、転圧層内上層部ではより高い締固め密度を要求することになり、盛土全体の品質向上に繋がるものと考えます(下図参照)。

ただし、モデル施工にて転圧層内下層部の締固め密度を測定する手段が必要です。そこで当社の2孔式RI計器(密度測定)(FRID)を使用します。

深度・密度グラフ

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4.モデル施工の概要

モデル施工の実施手順を以下に示します(東日本・中日本・西日本高速道路株式会社「土工施工管理要領(平成25年7月)」に掲載)。

モデル施工の実施手順

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モデル施工の標準的なヤード形状を以下に示します(東日本・中日本・西日本高速道路株式会社「土工施工管理要領(平成25年7月)」より抜粋)。

モデル施工の標準的なヤード形状

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乾燥密度や空気間隙率は、最終転圧回数計測後(モデル施工完了後)に、各2孔式RI密度計(FRID)埋設箇所より試料(転圧層を上層、中層、下層の3層に分けて)を採取し土の含水比試験を実施し、得られた含水比と2孔式RI計器(密度測定)(FRID)にて計測した湿潤密度、事前に実施した室内土質試験にて得られた盛土材の各物性値を用いて求めます。

5.モデル施工の結果と日常管理基準値の設定方法の流れ

モデル施工の結果の検討と日常管理基準値の設定方法は、下図に示すとおりです(東日本・中日本・西日本高速道路株式会社「土工施工管理要領」より抜粋)。

モデル施工の結果の検討と日常管理基準値の設定方法

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